【東大新ゼミ】タイ医学ゼミナールを終えて

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先日東京大学にて行われた東大生による自主ゼミ「タイ医学ゼミナール」のご報告です。

2月13日から17日、東京大学駒場校舎にて一般教養課程後期課目の講師を務めさせていただきました。

東京大学では、学生が学びたい内容(講師含)を大学に応募(一般教養科目)できるという制度があり、医学部有志の皆さんにご尽力いただき実現の運びとなりました。

チュラロンコン大学公衆衛生学修士課程を終え、同大学病院でリサーチアシスタントをしていたちょうど一年前。公衆衛生学の権威でいらっしゃる東大・神馬征峰教授とのご縁から、東大医学部生の「東南アジアスタディツアー」で、国際保健アドバイザーとしてチュラロンコン大学病院やワットポータイ伝統医学校、他タイ医学に触れる旅をご案内させていただきました。
医学部生の皆さんとは、顔を合わせた瞬間から意気投合し、まさに邂逅遭遇の出会いだったように思います。

「ゼミ開講にトライしてみましょう!」

彼らの閃きから発せられた言葉は、元来抱いていた夢の一つ”大学機関でタイ医学”の想いを突き動かすものでした。互いに湧き出る様々な夢を語りあい、次第に気持ちが一つになっていきました。

帰国後、何度もミーティングを重ね「申請→審査」と私達の想いはより具体的なプロセスへと進んでいきました。そして皆の夢が叶った「決定」の報告は7月7日の夜。七夕の星空を身が引き締まる想いで見上げたことを、今でも忘れられません。

ゼミ開講の日程は2月中旬に決まり、5日間連続の集中講義で行う事になりました。

そして年明けの1月。
近づくゼミに向けて、運営メンバーのタイ古式アシスタントトレーニングをスタートさせました。
皆、一つ一つの説明をじっくり聞き、咀嚼し、自分なりの発見を語らいながら真剣に取り組む姿は、指導する私にとっても勉強かつ励みになった時間でした。このようにして運営メンバーが一丸となってゼミのイメージ作りを進めていきました。

緊張の中、いよいよ当日。
雲一つない青空が輝く中、「タイ医学ゼミナール」が始まりました。
授業内容は、講義(タイ医学の歴史・理論・ヘルスプロモーションとしてのタイ医学)・実技(基本施術・症状軽減施術)。中でも実技にじっくりと時間をかけ授業は進められました。
学生の皆さんの、真剣な眼差し、真摯な姿勢、そして鋭い集中力を感じながらの授業でしたが、運営メンバーの強力なアシストのおかげで、和やかな雰囲気の中で進めることができました。

タイ古式マッサージの学習は、頭で考えるだけでなく、全身を動かしつつ体感覚をフル回転させながら進めていくため独特のものがあります。初心者は少し戸惑ったりもするのですが、そんな心配は稀有だったかのような上達度に驚かされました。
また同時に、受け手の気持ちや施術の流れをどれだけイメージしながら進めていくことができるかも重要なポイントです。慣れるまで少々時間を要する場合が多い中、初めて取り組んでいるとは思えないほどのレベルでレッスンが進んでいきました。

このように、スタート時点で学び方のスタンスが整っていたので、初日にも関わらず授業の終わりには、ワットポースタイルの特徴である“施術者の姿勢の美しさ”を彼らが体現していて、その姿に感心しました。
2日目以降は皆、より打ち解けて教室もどんどん和やかな雰囲気になり、レッスンの合間には気軽に質問が飛び交うようになってきました。

単純に「押す」「揉む」というテクニックとは一味違った、「圧を調節し浸透させながらアプローチする」というタイ古式ならではの特徴に興味を寄せたコメントがたくさん出ました。
身体の疲れや凝りなどの症状軽減をもたらすことはもちろんですが、心の状態も整えていくこと、さらに施術者側の心身の状態を整えるツールにもなり得る、という可能性にも新たな興味や関心を持っていただきました。
運営メンバーが、丁寧に取り組んでいただいた雰囲気が参加者にもそのまま伝わり、どの瞬間を切り取っても皆さんの真摯に取り組む姿が思い出されます。
これまで私がタイ伝統医学のツールを活用し、あえて異文化の日本で行ってきた数々の活動についてや、今後の研究活動への夢についても、皆さんにはとても親近感を持って聞いていただき、激励までもいただきました。

今回の「タイ医学ゼミナール」を経て、私自身は皆さんから学ばせていただいたことのほうが遥かに大きかったように思います。そして、今後に向けて本当に励まされた時間でもありました。
この貴重な経験を次に繋げていけるよう、今後も継続的に交流を重ねていきたいと気持ちを一つにし終われたことは、何よりも有難いことでした。
この有難いご縁に感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に、全てのご縁を繋いでいただいた神馬征峰先生。自主ゼミをゼロから一緒に築き上げてくれた運営メンバーの、河井孝夫さん、秋山陸貴さん、武井聡さん、櫻井麻人さん、黒崎隼平さん、福住奈央子さんに深く感謝いたします。

また、アシスタントとして参加していただいたTherapist Studio佐々木さん、YSanook田中さん、ヨガインストラクターの磯野奈央子さん、澤田幸子さん、『歪み~る』体験をご提供いただいた黒田社長、そして筑波から駆けつけてくださった東大医学部の遠山千春名誉教授にも心よりの感謝を申し上げます。

これまでの経験を積ませていただいたワットポータイ伝統医学校とタイへの感謝も同様に。

YUTIKA 宮原由佳


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