Thai Medicine

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タイ医学

タイ医学とは、伝統的な処法、薬草学、助産婦学、古式マッサージの4分野で成る、約2500年に渡り継承されている伝統医療です。

約2500年前、インドでブッダの主治医をされていたとされるシヴァカ・コマラパ師は、それまで人々の間に伝わっていた伝統療法を体系化させました。それが仏教とともにタイに渡り、発展し伝わってきたとされています。

タイ医学では、人体に巡る“SEN”と呼ばれるエネルギーラインを基本概念においています。
SENは、目には見えないとされながらも全身に72000本巡り、その中を通るエネルギーが滞りバランスを崩すことで病を引き起こすと伝えられてきました。
“SEN”というタイ語は、一般的には日本語と同様に“線”という意味で、その語源はともに中国語から来ていると言われています。タイ医学理念の中核を成すこのエネルギーラインが、インドと中国の両方の文化から影響を受けて発展してきたのではないかと考えられています。

タイ医学では『人』は”精神”と“身体”で形成されていると言われています。さらに『身体』は、地・水・風・火の4つの要素(タイ語でタートと言う)で構成され、それぞれの“バランス”をとても大切にとらえています。バランスを崩す要因も、これらのタートに直接関連する他、季節、年齢、土地柄、一日の時間帯、生活習慣など、より広い要素が関連しています。
健康維持の重要性を、個人の生まれ持った体質だけでなく、取り巻く環境とのバランスにも置かれています。

タイ医学の総本山ワットポー寺院

ワットポー寺院は、各分野の有識者を集め、壁や柱に、タイ医学や占星術・仏教教理・芸術・歴史などに関する知識を解説する絵や文章を描かせ、寺を訪れるすべての人々に当時最高の知識を開放しました。これが、タイで最初に開校された大学と言われています(これらの境内にある”記録”に関するもの全てをまとめて、2011年にユネスコが”世界の記憶”Memory of The World”に指定されました)。
特にタイ医学やマッサージに関する知識が後世に残り、ワットポー寺院はタイ医学の総本山として知られ、今も尚受け継がれています。

ワットポー寺院タイ伝統医学校に所属するご縁をいただき様々な経験をさせていただきました。
ワットポースクールの諸先輩方々の誠実な施術、真摯的に臨む姿勢に感銘を受ける場面が多々ありました。遠方より歩行困難な家族を連れ、早朝から参拝にみえる方々がいらっしゃいました。お参りをして心を清め、施術で身体を整え、症状が改善される姿を目の当たりにし、神業的な施術に強く心打たれました。
また、施術だけではなく、弱い立場の人に惜しみない慈悲の念を持つ先生方の姿にも感動しました。悲しみ、喜び、痛みを分かち合う仏教精神が、そこにはありました。
タイ伝統医学は、“あるがままの姿を尊重し合う”、先述した“悲しみも喜びも分かち合う”などの仏教の教えを礎にしてきたことも特筆するべき点です。
多くの人が心も安らぐとする“癒し”の神髄が生みだされた原点があると言えるでしょう。

タイ医学研究者として

症状の改善効果が顕著に見られるタイ古式マッサージですが、現代の科学的な研究に基づくエビデンスを充分に得られておらず、私自身も残念に思っておりました。しかし、ここ数年タイ政府の中で、大学にタイ医学部を設立し、タイ医学の研究・国家資格としてのタイ医学医師の養成という動きが見られるようになりました。
そういった場面でこれまでの経験を生かし、タイ医学研究の一翼を担える研究者になりたいと思うようになりました。


タイ医学の分野

・タイハーブ
・タイ古式マッサージ
・タイヨガ(ルーシーダットン)